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 片山さつき地方創生担当大臣(59)の元公設秘書・磯脇賢二氏が「週刊文春」のインタビューに応じ、昨年10月に「週刊文春」が報じた「国税口利き疑惑」について初めて証言した。

【写真】100万円振り込みの指示書

 2015年、製造業を営むX氏は、会社の青色申告の承認取り消しを回避するため、旧知の後援会元役員Y氏を通じ、片山事務所に相談。その後、X氏は、私設秘書だった南村博二氏から指定された口座に100万円を入金。その見返りとして片山氏が古巣・財務省に口利きを行ったのではないかという疑惑だ。この「国税口利き疑惑」を巡って、片山氏は「記事は事実無根」と主張。文藝春秋に対し、名誉毀損の民事訴訟を提起している。

 片山事務所への相談後、X氏は、私設秘書の南村氏から文書を受け取っているが、そこには次のように記されていた。

〈着手金100万円を、至急下記にお願い申し上げます。ご確認後、国税に手配させて頂きます〉

 この指示通り、X氏は7月10日に南村氏が代表を務める税理士法人の口座に100万円を入金。しかし約2カ月が経っても進展がなかったため、X氏はY氏らと共に議員会館を訪れ、片山氏に直談判したのだ。

 磯脇氏は、こう証言する。

「X氏やY氏が議員会館に来た日のことは、私もその場にいたので覚えています。事情を聞いた片山氏が『南村に直ぐ連絡して! (こっちに100万円を)振り込ませなさい』と怒り始めたため、私が南村氏に連絡したのですが、あいにく繋がりませんでした。私は彼女の口から100万円という数字を聞いて『随分高いな』と思ったことを覚えています」

 だが片山氏は、この議員会館での面談の事実を完全否定している。今回、磯脇氏が証言したことで、面談に参加した片山氏、磯脇氏、X氏、Y氏ら5人の中で、面談の事実を否定しているのは片山氏だけとなった。

 さらに、この席で片山氏は、国税関係者に電話をかけているが、訴状では〈国税関係者に電話連絡したこともない〉と否定。だが、今回「週刊文春」編集部が国税庁に情報公開請求を行ったところ、A4・9枚の資料が公開された。ほとんどが黒塗りだったが、2015年9月3日付で片山氏が関東信越国税局の総務課長に電話をしていた記録が残されていた。

 片山事務所に取材を申し込んだところ、代理人の弘中惇一郎弁護士が、「記者会見や国会における答弁等でお答えしたものと認識しております」と回答した。

「週刊文春」編集部/週刊文春 2019年3月28日号